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『庶ミンシュラン』
昨年11月下旬に「ミシュランガイド東京」が発売になった。収録されている
レストランは値段の張る高級店ばかりなのに私の友人J.C.オカザワが「これ
じゃ庶民は行かれないん
じゃないか」との疑問を抱いた。オカザワは庶民シュランの冒頭で「パリはもと
よりフランス各地の国内版ガイドでは、ずっとカジュアルで手軽な店も紹介され
ている。(中略)ニュー
ヨーク版のページをめくってみても、またしかりであった」と記述している。
そこで彼は庶民の為の表題の庶ミンシュランなるグルメガイドを刊行した。
この本はグラフ社発行で1470円。 庶民向けなので鮨など客単価が比較的
高い店でも上限を9000円にしてあるから選択するのに苦労したろうと思う。
索引が食種別、予算別
(1000円未満、1000円以上3000円未満、3000円以上5000円
未満、5000円以上9000円以下)、地域別、アイウエオ順の4種類も付い
てるのは読み易いし親切
だ。 私の単語集ズバリ合格の英単語は価格を抑える為に索引を付けられず読者
に申し訳ないと思ってるので、この索引は嬉しい。 個々の紹介頁全てで価格を
記載してないのは恐らく
字数制限の問題と、予算別索引があるから読者が判断できるからだろう。 また
外国人旅行者でも利用できるよう店名、食種、休日、おすすめメニューと言った
基本デイタは英語併記に
なってるので、英語を学習し始めた小中学生の英語の関心を引く役にも立つ。
とは言え、食文化の違いから簡単に英語で表記できない物も多数あるので、NY
在住が長かったオカザワ
とはいえ相当苦労したと思う。
また、オカザワの多数の食ガイド本に共通している事だが、単なるグルメガイ
ドでない点が出色で、オカザワの博識ぶりがサラリと出ている。 本書でも銀座
の煉瓦亭が千切りキャベ
ツ発祥店との記述があるが、薄識な私は初めてこの事を知った。 更にその理由
に日露戦争が挙げられている。 単なる酒の紹介に留まらず醸造学や故坂口謹一
郎博士を引き合いに出し
てるのもオカザワの教養を感じる。 松本清張、池波正太郎、永井荷風が贔屓に
したとの記述も楽しい。 グルメガイドとしてのみならずエッセイとしても楽し
く、1冊で2度美味しい
本だ。
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