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『フランク永井さんとの思い出』
私が小学校1年生だった昭和33年の夏休みに7月下旬から8月中旬にかけて
長野の母方の祖父の家に祖母と一緒に行った。「えっ?祖母と?」と不思議に思
われるだろう。昭和初
期の恐慌の際に口減らしで母は叔母(祖父の妹)の所へ養女に入ったからだ。
そこで私には母方の祖父母が2組居た。
祖父は長野市の権堂で「う奈亭」と言う有名な鰻屋をやっていた。当時の権
堂は長野1の繁華街だった。権堂の商店街を秋葉神社から中劇に抜ける小道で
奈良堂と言う喫茶店の
隣だった。テイブル席はなく全部10畳の座敷だった。ある日フランク永井
が来ると言うんでサインを頼むのに開店間もなかった丸光と言うデパートにハン
カチを買いに行った。
我が家は貧しかったので、私はたまに新宿三越の大衆食堂(デパート直営)で
昼飯を食わせて貰う時も小学校入学以前から3桁の物は頼んだ事がなかった。
だから100円のお
子様ランチを食べた事がない。尤も子供扱いされるのが嫌いだったからお子様
ランチを食べたいと思った事はなかった。
さてハンカチだが、「う奈亭」の祖母が一緒だから好きなハンカチを選んだ。
2人のイトコが選んだのは1枚30円だったが私が選んだのは120円だった
。値段で選んだ訳で
はない。後年解った事だが私が選んだハンカチの素材は麻だった。
さてF永井を玄関で待ち、握手して貰うつもりだったが5人も来て誰がF永井
かわからぬままに終わってしまった。1人で来ると思い込んでいたからだ。
今の私なら、接待を受
けた時は1人ではない事が解ってるが当時では無理だった。
そして私が芸能界デビューする前にFさんは自殺未遂をしてしまい、とうとう
握手は実現しなかった。あの魅惑の歌声は大好きだった。御冥福を御祈り申
し上げる。
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